人事戦略の新アプローチ 成果主義をどう総括するか?
NTTデータ経営研究所(東京都渋谷区)によると、ここ10年以上にわたり試行錯誤を経た「成果主義人事」は、各社で行き詰まりを見せているという。では、その要因は何か?状況打開のポイントは?今日から3日間に渡り、同研究所の田添氏に語っていただく。
成果主義人事の行き詰まり
“成果(≒業績)の違いによる報酬の差別的配分”という考え方を人事の中軸に据える戦略の破綻は、既に多くの企業で明白になってきています。
- 「成果主義」による評価・報酬制度が、経営に結びつかない
企業の多くは、人件費の合理化だけでなく、人材のモラールアップ、業務の生産性向上、各層の人材強化、更には「組織の精鋭化」といった経営成果の獲得を目指しています。
しかし、賃金形態を変更しても、そうした経営成果を獲得した事例はほとんど存在しません。また、報酬改革を評価制度や等級制度を含めたトータルな人事制度改革として遂行している企業においても、結果はほぼ同じです。
- 成果主義の仕掛けが検討段階でどんどん骨抜きにされる
各部門代表者によるプロジェクト委員会の組織の体質に問題があります。
従来の体質を引きずっている場合には、大きな政策の転換は、次第に角が削られ、結果的に当たり障りのない施策にされてしまうものです。
この背景には、人事改革はその理念が「成果主義」であるか否かを問わず、組織の“体質転換”と並行して進めることが不可欠であるという認識の欠如があります。
- 成果主義による施策に対して現場部門のコンセンサスを得られない
人事施策には、現場部門とりわけリーダーの賛同を得ていることが不可欠です。
ところが、報酬関連制度はともかく、付随的に導入されている評価や格付け(社内資格)は、概念やプロセスが難解で、仕組みとしても複雑なものが多く、現場マネジメントの負荷を増大させがちであるため、コンセンサスを得られにくい傾向があります。
こうした事実からも人事戦略としての「成果主義」は抜本的な見直しが必要です。
堂々巡りを繰り返す制度改定
- 成果主義による人事改革は、ある制度を改定するとその矛盾を補正するためにまた別の制度改定が必要とされます。
- 更にその問題点を克服するためにまた次の………というように・・・
- 次から次へと新たな制度改定が必要となる傾向があります。
(よくあるケース)
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報酬にメリハリをつけるため従来型の職能給や年功給に代えて、成果給、職務給、業績賞与、年俸など報酬システムを導入
- 報酬格差への「納得感」を確保するため人事評価をより客観的な項目編成に改定
- 評価の客観性をより高めるため目標管理の手法を導入
- 業績評価による近視眼的傾向を是正するためバランススコアカードやコンピテンシー評価を導入
- コンピテンシー評価と実際の人材の活躍との乖離をなくすためコンピテンシーモデルを再構成。
- 会計基準のグローバル化に対応するため退職金や企業年金制度を改定。
- 成果主義人事によるモラールダウンに対する対策として各種のモチベーション施策を実施
- つまり、制度改定そのものを目的化した改革と言わざるを得ない悪循環に陥っているのです。
- 「だけど、経営環境の変化が激しくなっているのだから、人事政策や人事制度もそれに応じて短いサイクルで変更するのは当然だろ?
- という見解は、果たして企業経営を誠実に考えた上での真理と言えるでしょうか?