プロフェッショナル人材マネジメントの実践
NTTデータ経営研究所(東京都渋谷区)によると、ここ10年以上にわたり試行錯誤を経た「成果主義人事」は、各社で行き詰まりを見せているという。
では、その要因は何か?状況打開のポイントは?同研究所の田添氏に語っていただく。
プロフェッショナル人材の価値を明示する
- プロフェッショナル人材マネジメントは、コアコンピタンス(事業の中核的人材)である特定の職種に限定し、事業戦略と人材価値を一体化させた社内資格制度を軸に、人材評価、育成、そして組織管理に及ぶ人材マネジメントの体系的な変革を推進するための仕掛けです。
- その特徴は、人材の価値基準を周到な体制の中で明確化し、資格の権威を確固たるものとして堅持しようとする強い経営姿勢にあります。
- 資格基準は、従来型の各種社内資格制度では、文書にその概要がまとめられるか、せいぜい職種別の能力要件がまとめられる静態的な形式が普通でした。
- 一方、プロフェッショナル資格制度では、資格の基準が単に文書としてだけでなく組織内で有機的なナレッジとして共有され、ビジネスの変化に応じてタイムリーに更新されるプロセスが組織されます。
- 例えば、プロフェッショナルとしての最新のビジネスナレッジを緊密に共有すると共に人材の価値観を幹部層がすり合わせるための“コミュニティ組織”や、資格レベルに相応しい実績やプロフェッショナルとしての貢献が実現されているかを検証する“資格更新制度”といった仕組みがそれに当たります。
登場の背景
- 運用に手間とコストのかかる資格制度が導入される背景には、各社における中核人材(ビジネスの核を担う人材)の慢性的な不足状況とそれに対する危機感があります。
- 同時に、人材不足を労働市場からの安直な調達よってではなく、社内での育成を軸に中長期的かつ継続的に中核人材が輩出されるプロセスの整備を通じて解決していこうとする経営意思が存在しています。
適用企業の条件
プロフェッショナル資格制度による人材マネジメント改革は、どのような企業にも適合する戦略では決してなく、そこには一定の前提条件が考えられます。
- 歴史的に蓄積された自社固有のナレッジ(ビジネスノウハウとそれに伴う暗黙知)の存在
- ナレッジを軸にした独自の仕事文化とそれを軸に形成された組織風土
- 戦略的な制度体系の運用・推進を担いうるマネジメント組織及びスタッフ
- 以上のような条件を満たすことのできる企業は、創業以来ある程度の歴史を持つ比較的大手の企業ということになるかもしれません。
- 逆に言えば、プロフェッショナル資格制度による人材マネジメント改革が、伝統企業が本来的に保有するにもかかわらず、マクロな環境要因等のために見失っていた企業力を新しい形式で再生させる試みであることを示しています。