メンタリングの展開
前回、
メンタリング そのビジョンと情熱では、そのメンタリングの第一人者として定評のある
NTTデータ経営研究所の
人事コンサルティングチームの田添氏にメンタリングの基礎編としてインタビューを行った。
今回は、具体的にメンタリングの展開とビジョンについての考察をご紹介する。
現在、組織・人材戦略のスタンダードとなりつつあるキーワードだけによく有益な情報源として咀嚼してほしい。
どのようなメンタリング制度が、実際に展開されているのでしょうか?
- 企業の目的によって様々です。
- 目的としては、人材のリテンション(=引き留め)強化、人材育成の充実、キャリアデザインへの支援の充実、基本的なモラールの改善等様々です。
- またその対象層も、中核人材に限定するケース、ある程度の年代までは全て対象にするケース、女性だけに提供するケース等、企業によってバリエーションに富んでいます。
- また、研修制度や業務改革運動の中にメンタリングを組み込む事例も、大手企業を中心に見られます。
- いずれにしても、このような活動はコストと時間を要するものですから、企業活動の中ではそれに見合った効果を得なければなりません。
- とすればやはり、はじめから全社員を対象とするという道は考えにくく、育成やキャリア設計に関して特に支援を充実させたい人材層を絞り込んでトライアルを進めていく、というのが現実的な選択肢となる場合が多いのではないでしょうか。
メンタリングは、どのようなビジョンを示しているのでしょうか?
- 成果主義人事の広範な普及によって、日本企業の人事・雇用システムはこの10年程度の間に大きな転換を遂げました。
- 評価は、能力や意欲よりも業績や目標達成度が重視されるようになり、報酬は評価結果に応じて大きく変動するようになりました。
- また、日頃の仕事も、じっくりと腰を落ち着けて取り組むというよりは、短期(1年や四半期)での業績を意識して行わなければならない局面が多くなりました。
- ただ、このようなチェンジマネジメントの結果、日本企業の競争力、人材の能力(コンピテンシ−)、業務の生産性が高まったかというと、現実は必ずしもそうではありません。
- 肝心の業績が高まらないばかりか、そのプロセスまでも崩れているケースも散見されます。
- プロセス充実のためCS(顧客満足、顧客第一主義)が叫ばれて久しいものの、人材マネジメントまでを含めた組織的実践が伴っている企業は、大手においてもいまだに少数派という状況です。
- つまり、マネジメントのソリューション、とりわけ人材マネジメントにおける確たる戦略は、未だに固まってはいないのです。
- ただ、人材のモチベーション向上、モチベーションを伴ったパフォーマンスの向上という点を見据えると、そこにひとつの組織戦略の道筋が見えてきます。
- 価値観の共有を伴った「自立型マネジメント」、それが基本的な方向性です。
- 未だに固まりきらない組織戦略の中でも、その前提となる戦略(モチベーションの確保等)の浸透を進めながら、私たちがより確かなビジョンへと近づいていく道筋を、メンタリングという活動モデルは照らし出しているのです。
質問へのご回答とご説明、ありがとうございました。