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職務経歴書の書き方

職務経歴書の重要性

職務経歴書は、書類選考において最も重要な書類です。求人企業の採用担当者は、希望者全員と会って話をする時間はありません。自社の募集にマッチするか、面接に呼ぶに値する最低限の資質を持っているか、を見ます。その最低限の資質を持っていることを前提として、面接ではその確認をしながら人物・人間性を評価するという流れが一般的です。「人間性の評価→経歴のマッチ」ではなく、「経歴のマッチ→人間性の評価」となるため、よほど人物重視の企業でもない限り、そもそも「経歴のマッチ」がないと次(面接)に進むことができないのです。この「経歴のマッチ」を行うのが書類選考であり、とりわけ職務経歴書はそこで重要な役割を果たします。
職務経歴書には、すべての求職者に共通する絶対的に正しい書き方があるわけではありません。が、求職者の立場として理解しておかなければならないことは、何のためにこの書類が必要なのかという意味、その書類が果たす役割、企業の採用担当者がどういう視点でこれを読むかという目的です。
そもそも求職活動における「経歴のマッチ」という問題を、少し離れたところから俯瞰し、どういう仕組みになっているかを理解したうえで、“だからどう書かなければならないか”ということを知る必要があります。というわけで、求職活動におけるマッチングの問題を概観してみましょう。

転職を成功させるためには、自分のできることをしっかりと書く

求職・求人の現場においては、上記3つのフィールドがあります。
  • 自分にできること

    (職歴・スキル・資格など、過去に身につけたこと)

  • 自分がやりたいこと

    (職種・勤務地・年収など未来に対する希望)

  • 企業が求めていること

    (職歴・スキル・資格・年齢など人材スペック)


求職・求人の現場においては、上記3つのフィールドがあります。

この3つのフィールドが重なっている部分(斜線部)の面積が広ければ広いほど、転職が成功する可能性は高くなります。
AとBがぴたり重なっていてもCが離れている(自分にできることだしそれをやりたいのだけれど、そもそも企業がそれを求めていない)とか、AとCが重なっていてもBが離れている(自分にできることで企業もそれを求めているけれど、その仕事はやりたくない)というふうに何かひとつが離れていると、転職は難しくなってしまいます。

求人企業が書類選考において応募者の職務経歴書を読む場合、応募者がその企業を希望していることは当然の前提でして、重視されるのはAとCのマッチングとなります。 その人ができること、すなわち「過去にやってきた経験・職歴」がどれくらい求人ニーズに合致するか、その一点がとくに評価されます。 したがって、職務経歴書を書く場合は、

A.自分にできること

(職歴・スキル・資格など、過去に身につけたこと)


を中心に書きます。これが企業側の

C.企業が求めていること

(職歴・スキル・資格など、過去に身につけたこと)


とどれくらい合致するかによって、書類選考の合格/不合格が決まると考えて間違いないでしょう。 職務経歴書が曖昧で、抽象的で、要するに何ができる人なのか分からない、というような書き方であると、どこにも合致しないことになります。 従って、具体的で、明確で、はっきりした輪郭をもった“A”を作らなければなりません。 いつからいつまでどんな会社のどんな部署のどんなポジションにいて、どんな仕事をどういうふうにしてきたのか、それによって具体的にどんな成果(結果)を上げてきたのか、どんなスキルや資格を身に付け、だから何ができるのか…という具体的で確実な内容を作ります。 これが、A(自分にできること)となり、3つのフィールドの基礎を担います。

輪郭のはっきりした職務経歴書を作成するには

A(できること)とB(やりたいこと)を明確化することは、自分のことなのでさほど難しいことではありませんが、C(企業が求めていること)に関しては、不透明である場合も多いでしょう。 ちなみに人材紹介会社の利点は、求職者に比べて、ずっと確実なC(企業が求めていること)を掌握している点にあります。 いずれにせよ、求職者の立場としては、まずは輪郭のはっきりしたA(=職務経歴書)を正確に作成することが基本です。 その後、応募したい企業のC(企業が求めていること)によって、Aに編集を加えます。

右の図のように、AをCに近づけることによって、AとCふたつのフィールドの重なっている部分の面積を広くすることができます。この面積が広ければ広いほど、書類選考を通過する可能性は高くなります。 とはいえ、書類選考を通過させるために職務経歴書に嘘を書いてはいけません。では、AをCに近づけるために行う「Aの編集」とはいったい何でしょうか。

編集には「省略」と「強調」のふたつがあり、しかもその「省略」「強調」を行うことが不適切な場合と不適切ではない場合があります。 「事実を曲げる」編集は捏造ですから、絶対にやってはいけません。「省略」「強調」であっても、それを行うことがあまり好ましくないと判断される場合はやらない方が良いでしょう。 不適切ではない編集(省略・強調)はどこに加えるのか、そもそも職務経歴書に必要な情報は何と何か、概観してみましょう。

職務経歴書に書くこと、書かないこと

職務経歴書を作成するために必要な情報はいくつもありますが、それらの情報は必要性の高さという観点から以下のように分けられます。
必ず必要な情報 氏名・年齢・住所・電話番号・E-MAILアドレス・入社年月・退社年月・企業名・部署・役職・業務内容
あった方が良い情報 職歴の要約(概要)、上場区分・資本金・売上げ・従業員数・事業内容・雇用形態・成果・性別・学歴・資格・資格取得年月
任意で追加する情報 自己PR、志望動機、退職理由、希望条件、その他
さらにこの中でも、編集可能な情報と、不可能な情報があります。
編集可能な情報 業務内容・雇用形態・成果・職歴の要約(概要)・自己PR、志望動機、退職理由、希望条件、その他
編集不可能な情報 氏名・年齢・性別・住所・電話番号・E-MAILアドレス・学歴・資格・資格取得年月・入社年月・退社年月・企業名・部署・役職・上場区分・資本金・売上げ・従業員数・事業内容
後者の、「編集不可能な情報」については、事実を書く以外に方法はありません。一方、前者は状況に応じて編集することが可能です。

場面によって好ましいか好ましくないかという判断はありますが、とりあえずここにある情報に関しては、「省略する(書かない)ことによる編集」と「強調することによる編集」が可能です。 とりわけ、それがもっとも頻繁に行われるのは、職歴の要約(概要)と業務内容(仕事の内容)です。

たとえば、システムエンジニアとWEBデザイナーを経験してきた人が、WEBデザイナーを目指す場合、システムエンジニアの経験が長くWEBデザイナーとしての経験が浅かったとしても、システムエンジニアとしての業務内容は「省略することによる編集」を加え、あっさり書く、一方でWEBデザイナーとしての業務内容は「強調することによる編集」を加え、できるだけ詳細に書く、ということを行います。
同じ人がシステムエンジニアを目指すのであれば、WEBデザイナーとしての経験をいっさい書かかず、システムエンジニアとしての職歴のみを強調することも可能です。

いずれにしても、C(企業が求めていること)が何であるか大雑把にでも分かっているのであれば、C(企業が求めていること)にA(自分ができること)を近づけるために、職務経歴書には“許容される編集”を加えて書類選考の合格を目指す、というのが良いでしょう。

職務経歴を省略するときの注意点

ただし、「省略」については気をつけなければならないことがあります。 人材紹介会社を使うのであれば話は別ですが、求職者の立場としては正確なC(企業が求めていること)を把握できないという問題があります。 自信のキャリア・スキルの中で、その応募企業に対して評価されるはずがないと思って軽視した内容が、実際には高く評価されたりすることがあります。 また、応募職種が営業系である場合はとくに、成果を省略するのは適切ではないでしょう。 業務内容で何をしたかということを書くだけでは不足で、その結果どのような成果を上げたかということを書くべきです。

C(企業が求めていること)に、自分は近い資質を持っている、なぜなら…というその根拠を書くのが職務経歴書です。 最も説得力があるのは「実際にその仕事をやっていたから」という直接的な実務経験なのですが、それがない場合は、間接的な(もっとも近そうな)実務経験、アルバイト経験、学問や資格・特技などから「自己PR」や「志望動機」の中で言及することも可能です。 この「自己PR」「志望動機」で企業から要求される資質を持っていることを強調することもA(自分のできること)をC(企業が求めていること)に近づけるために行う“編集”のひとつです。

職務経歴書作成の基本形

職務経歴書の基本の形はこのようになります。

■日付
履歴書の日付と合わせ、応募書類を提出する日を書きます。 面接時に手渡しで書類を渡すのであれば面接日、郵送もしくはメール送付するなら投函日もしくは送信日。 職務経歴書の右上(いちばん上)に小さめのフォント・サイズで書きます。 職務経歴書に関しても、元号か西暦どちらかで統一するべきです。 職歴を西暦にするなら日付も西暦、職歴を元号にするなら日付も元号というふうにします。 いつからいつまでどこ(の企業)に所属していたかを履歴書で確認し、その会社の中でやった具体的な仕事の内容を職務経歴書で確認するというふうに、採用担当者は履歴書と職務経歴書を交互に見比べながら読んでいくという場合が多いので、日付の書き方(西暦・元号)は履歴書と職務経歴書で統一しておいた方が良いでしょう。
■氏名・ふりがな・年齢・性別・住所・電話番号・E-MAILアドレス
ひとまとめにして職務経歴書の右上に書くのが普通です。「日付」よりも下です。 ひとまとめにするときにバランスを 考え、フォント・サイズを調整してください。 性別は書かなくて結構ですが、書くとすれば氏名の横に、山田太郎(36歳・男性)と書きます。 氏名にふりがなを付ける場合は、山田太郎(やまだたろう)(36歳・男性)とするか、もしくは、ルビを付けましょう。 WORDで名前の部分を選択し、「書式」→「拡張書式」→「ルビ」で、ルビを付けることができます。
■学歴・資格・資格取得年月
学歴・資格・資格取得年月は履歴書にあるので、職務経歴書では必ずしも書く必要はないように思えますが、職務経歴書だけを熱心に読む採用担当者もいますので、学歴・資格は職務経歴書にも書いた方が良いでしょう。 書くとすれば職歴の下です。 学歴は最終学歴のみを書きましょう。

例)
学歴:上智大学外国語学部英語学科卒業
資格:TOEIC 920点(平成19年7月)

■職歴
職歴は従事した企業の数だけ書きます。 たとえば勤めた企業が10社あるなら職歴も10です。 これをすべて書くと職務経歴書は5枚6枚…と増えていってしまいます。 職務経歴書は2枚程度にまとめるべきですから、数が多くなるのは好ましいことではありません。 日本では転職回数が多い、職歴が多いというのはマイナス評価される場合が多いのですが、この職歴そのものを“職務経歴書の編集”によって「省略」するのは、不適切です。 「省略」を行うのは主に業務内容で、それもまったく書かないということではなく、“すべてを詳細に書くのではなく、できるだけ簡単に述べるに止まる”という意味です。職歴の基本的な形は、以下のようになります。

◇企業情報
いつからいつまで何という企業に所属していたか、その企業はどのくらいの規模で、どんな事業を行っているのかを書きます。 事業内容とは企業が収益を上げるために行っていることで、業務内容とはその人がその企業の中で行っていた仕事の内容です。
企業名・入社年月・退社年月
資本金・売上げ・従業員数・上場区分
事業内容

◇業務情報
企業情報に書いた企業の中で、どんな部門のどんなポジションにいたか(アシスタント・スタッフ・マネージャー・ディレクターなど)、そこで具体的にどのような仕事をしていたのかを書きます。 正社員・契約社員の場合は雇用形態を必ずしも書く必要はありませんが、派遣社員・業務請負は書いておいたほうが良いでしょう。 契約社員の場合はそれを書くことによって、「契約期間満了のため」という退職理由にスムースに繋がります。
業務内容は、実際にやっていた仕事の内容を書くことになりますが、だらだらとした文章で説明するのは良くありません。 箇条書きが基本です。名詞をカンマで区切って並べるようにし、文章は避けます。どうしても文章で説明したい場合は、体言止めにすることをお薦めします。 体言止めとは、文章の最後を名詞(句)で結び切りにすることです。

悪い例 お店に来たお客様に最新機種の携帯電話をお薦めし、機能を説明したり、質問に答えたりして、買っていただきます。 電話などで文句を云われたりすることもありますが、そういう時はお客様の話をよく聞き、丁寧に説明することで理解していただきます。 空いた時間には請求書のコピーや領収書などをフラットファイルに挟んで(できるだけ揃えるようにして)整理しました。
良い例 携帯電話の販売、クレーム対応、ファイリング

業務内容を箇条書きにするというのは、こういうことです。 一言で済んでしまいます。 あまり書くことがなくて困るという方は、「工夫したこと」なども盛り込んで、文章で説明してもかまいません。 どこの企業でもそうですが、問題点の指摘は誰にでもできますが、問題の解決は誰もができるわけでもなく、また、やりたがりもしません。

「あれ、プリンターに紙がないねえ」と叫ぶ(←問題の指摘)
に対して
実際にプリンターに紙を詰める(←問題の解決)

というわけで、これは簡単な例ですが、“問題の解決”をする人は高く評価されますので、職務内容にボリュームを持たせたいのであれば、どういう問題に対してどういうことをやって解決してきたかを書くのも有効でしょう。 また業務内容(仕事の内容)の後に、その仕事を行った結果得られた成果を示すとGOODです。 たとえば営業系で成約まで結び付けられなかったとしても、1日に何件電話をし、何件訪問し…という具体的な数字を示すべきでしょう。

■職歴の要約(概要)・志望動機
冒頭に書きます。要するにこの人はどういう人なのか、何をやってきた人なのか、何ができる人なのか、ということが直ぐに分かるような要約を書きます。 ここを読んで興味がないと思われれば、その後は読んでもらえません。 職歴の要約は、採用担当者に詳細な職務内容を熱心に読みたいと思わせるための動機付けを与える任務を帯びます。 職務の概要が企業の求人ニーズと合致することを云えば、志望動機にも繋がります。 「何をやってきた」「何ができる」→「だから、貴社の〜に貢献できる」という流れです。
■自己PR
人材紹介会社や求人企業の採用担当者が職務経歴書を読むとき、求職者の年齢・キャリアによって力を入れて読む部分が異なります。 求職者が30代40代…で既に相当なキャリアを持っている場合は、自己PRは必要ありません。 書いてあっても問題ありませんが、その内容にはあまり興味をもたれません。重視するのは、具体的な職歴で、その人が何をやってきたか、何ができるかという部分に注目されます。 一方、求職者がまだ若く、キャリアがない、もしくは浅い場合は、具体的な職歴よりも自己PRに注目は集まります。 20代でほとんど職歴がないような方は、自己PRに力を入れて書いてください。 自己PRは、自分がどんな資質を持った人物であるのかということをアピールし、だから、今後その企業に貢献できるということを採用担当者に納得させることを狙いとします。性格・性質・習慣・長所など「資質」ということになると、どうしても抽象的な内容になってしまいます。 そこは抽象的な内容でも構いませんが、なぜそう云えるのか、という根拠は具体的であるべきです。 また、「〜だと思います。」とせず、「〜です。」と言い切ってください。
悪い例 (特に根拠はないけれど)私はコミュニケーション能力が高い方だと思います。
良い例 私には高いコミュニケーションスキルがあります。 アルバイトで1日5件程度のクレーム対応をし、20名以上の初対面の人を会員勧誘していました。 登録実績は40名に1名の割合でしたが、これは社員の平均値を上回る数字です。
■退職理由
企業が人材を採用するとき、長く続くかどうかも重視されます。 某大手転職サイトに求人広告を出せば、2週間で180万円(!)かかります。 採用コストはばかにならないので、採用するからには長く続けて欲しいのは当然です。 この人物が長く続く人なのか、すぐに辞めてしまう人なのか、応募書類のどこを見れば分かるでしょうか。 そうすると、目が行くのはやはり転職回数です。ここで転職回数の多い人は「またすぐに辞めるのではないか」と思われて不利になります。 しかし、転職(退職)の理由次第では、ある程度それを回避できるものです。 転職回数が数回あっても「それは仕方がない」と思わせられるような理由であれば、多少転職回数が多くても問題になりません。 一方、「そんなことで転職するのか」と思われるような理由を書けば逆効果になります。
悪い例 上司と合わなかった
嫌いな同僚がいた
やりたくない仕事をさせられた
良い例 給与日に給与が振り込まれなかった
毎年年収が5%ずつ下がって生活できなくなった
毎日終電で体調を崩し入院した
どちらとも言えない スキルアップなど自分を高めるため

「スキルアップなど自分を高めるため」は微妙です。 求職者としては前向きで良い退職理由に思えますが、採用企業の立場からすると、「うちの会社も成長の土台にされるだけ」「スキルアップしたら、また次の職場に移って行ってしまうのではないか」と思われかねません。 相手がどう思うかを考えて書くべきです。嘘を書かないことと何もかも正直に白状することは同義ではありませんから。


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